未分割財産に係る不動産賃貸料収入は誰のモノ?

いきなり問題です。
アパート経営を行っている父が10月31日に亡くなり、その相続人である母、長男、長女は翌年1月31日に遺産分割協議を行い、アパートとその敷地を母が相続することになりました。
この場合の11月1日~翌年1月31日のアパートに係る不動産賃貸収入は誰が確定申告すべきでしょうか? 次の①か②のうち正しいものを選んでください。

①遺産分割協議で母がアパートとその敷地を相続しているから、母の収入として申告する
②遺産分割が済んでいない時期の収入なので、相続人3人の共有として、法定相続分の割合に応じて各相続人が申告する

 

正解は、②となります。

まず、相続財産であるアパートとその敷地については、遺産分割があるまでは、各相続人の共有であり、各相続人は法定相続分に応じて所有している(民法898条,899条)ことになります。
そして、遺産分割協議が成立した後は、相続開始時からその遺産分割により取得した個人のものとされます。(民法909条)

ただし、その相続財産から生み出される不動産賃貸収入(法律用語で「法定果実」といいます。)は、上記と同様な扱いになるわけではなく、遺産分割協議が成立するまでは各相続人の共有財産となり、その収入は法定相続分に応じて各相続人に帰属することになります。

 

このように、相続財産とそれから生じる法定果実である不動産賃貸収入については、法律上別のモノであるとされています。要は相続財産は文字通り「遺産」ですが、不動産賃貸収入は「遺産」ではないのです。

 

したがって、アパートとその敷地は相続時点から母の所有となりますが、遺産分割協議が成立するまでの不動産賃貸収入は各相続人共有となり、法定相続分に応じて分けることになります。

つまり、11月1日~翌年1月31日の期間の不動産賃貸収入は母は1/2、長男、長女は1/4ずつ申告することになり、翌年2月1日からの不動産賃貸収入は母が申告することになります。

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