Higuchi – Tax News Vol.030 欠損金の繰越期間の延長と制限

平成23年12月の税制改正により法人の繰越欠損金についても改正されました。

 繰越期間が7年から9年に延長されることになり、また一定の法人については、欠損金の繰越控除の金額について所得金額の80%を限度として控除することになりました。

 今回はこの欠損金の繰越控除の改正について詳しく紹介したいと思います。

 

1. 欠損金の繰越期間の延長と制限

 (1) 欠損金の繰越期間の延長

 平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金につき、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間が7年から9年に延長されます。

 これは地方税である法人事業税の計算においても、同様の取り扱いとなります。

 

(2) 繰越控除の金額の制限

 ① 内容

 平成24年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金につき、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除及び連結欠損金の繰越控除における控除限度額について、一定の中小法人等を除き、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得金額の80%までに控除が制限されます。

 こちらも地方税である法人事業税の計算においても、同様の取り扱いとなります。

 

② 適用対象外法人

  ・普通法人のうち,資本金等の額が1億円以下である法人等

(資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人等を除く。)

 ・公益法人等又は協同組合等

 ・人格のない社団等

 

 (3) 3月決算法人による具体例

 

2. 帳簿の保存要件

欠 損金の生じた事業年度について確定申告書(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除の場合は、青色申告である確定申告書)を提出し、かつ、その後 において連続して確定申告書を提出している場合で、欠損金の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存している場合に限り、適用することになっています。

なお,法人税法上の帳簿書類の保存期間は従来どおり7年間とされていますが、欠損金が生じた事業年度についての帳簿は9年間保存となりますので、注意が必要です。

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